モラハラ夫と離婚することを躊躇していたことから踏み出したSさん
彼女と初めて会った時、
「本当はとても大切なことを話したいのに、まだ言葉にできずにいる」
そんな感覚を受け取りました。
私は普段のセッションでも、
相手がまだ言葉にしていない本音を感じることがあります。
その時も自然と、
「○○ちゃんは、ご主人との関係を修復したいんだよね?」
と声をかけていました。
すると彼女は、少し暗い表情で
「はい…。主人のことで相談したくて」
と話し始めました。
そこから初回セッションでは、
これまでされてきたこと、
そして今も続いているモラハラについて、
静かに打ち明けてくれました。
けれど私は、
「そんな旦那さんとはすぐ離婚したほうがいい」
と伝えることはありません。
なぜなら、
結婚を決めたのも彼女自身なら、
離婚を決めることも、本来は彼女自身でできると思っているからです。
本人の本音や納得感がないまま、
第三者が答えを決めてしまうと、
また同じパターンを繰り返してしまうことがあります。
だから私は、
“どうしたいのか”
を、彼女自身が感じられる状態へ整えていきました。
パートナーとの関係を修復したいのか。
それとも、
自分の人生を自分で立て直したいのか。
どちらが正しいかではなく、
“自分はどう生きたいのか”
を大切にしながら、寄り添っていきました。
彼女の場合、
本来は「自分で決められる力」がある人でした。
けれど長い時間の中で、
ご主人に怯え、
自分の気持ちを抑え、
“自分を出さないことが生きること”
になっていたのです。
セッションでは、
彼女自身の傷や恐れを丁寧に見つめながら、
「この関係を、この先も引き受けて生きていきたいのか」
という部分も、一緒に確認していきました。
すると約1ヶ月後。
彼女は自分で、
「一旦、主人と離れて暮らします」
と決め、お母さまと暮らし始めました。
距離を置いたことで、
今まで見えなかった感覚が少しずつ戻ってきたのです。
自分が大好きな動物を飼いたいと思っても否定されること。
暴言を吐かれること。
それらに対して、
「これはおかしいかもしれない」
と、自然に違和感を感じ始めていきました。
そしてセッション開始から半年後。
彼女は、自分自身の意志で離婚を決め、
ご主人へ別れを伝えました。
離婚後の彼女は、
まるで別人のように生き生きとしていました。
「私は、動いているほうが合ってるみたいで、
仕事を3つ掛け持ちで始めました!」
「本当は、自分の好きな服を着て、
みんなに見てもらえるショーにも出たいんです!」
そう笑いながら話してくれた彼女は、
“静かに、控えめに生きなければいけない”
と自分を閉ざしていた頃とは、
まったく違う表情をしていました。
私は彼女に、
「離婚したほうがいい」と答えを与えたわけではありません。
ただ、
その人の中にあるノイズを整え、
本音が見える状態へ戻っていけるよう、
寄り添っていっただけ。
本音に戻ると、
自然と決断はクリアになり、
人生は静かに動き始めます。
離婚後、
キラキラした目で
「本当はこれがやりたかった!」
と夢を話してくれた彼女の表情を、今でも覚えています。

